「マドモワゼルプリヴェ展/ガブリエルシャネルの世界へ」【MADEMOISELLE PRIVE TOKYO】に行って来ました!
開催日程は2019年10月19日〜12月1日、場所はB&Cホール@天王洲アイルという海に近いお洒落スポット。
この「マドモワゼルプリヴェ展」、2015年にロンドンからスタートし、2017年にソウル、2018年に香港、2019年4月に上海と来て東京での開催。
わたしが行ったのは11月22日の金曜だったのですが、生憎の寒雨。
会場は11時〜19時30分まで(閉館は20時)30分刻みで予約ができるようになっていましたが、12時からの予約で12時に行ってもその時間には入れず1時間ほど並びました。
予約制で平日であるにも関わらず、行列の長さにびっくり、さすが世界をまわっての展示会です。待っている人も若い女性が多かったとはいえ、老若男女来ていました。
さすが開幕前に3万人が予約したというだけはありますね・・!
実際の展示会場の写真やアプリの写真を交えながら紹介していきたいと思います。
(オートクチュールやハイジュエリーの展示写真が見たい!って方はブログ記事最後のギャラリーに置いておきますので、ゆっくり見ていってくださいね☺️)
Linが訪れた日は雨でしたので天王洲アイルの街並みの写真はないのですが、展示会場の外側からして素敵なデザインに胸が高鳴ります。
🌸展示会の構成
展示の構成は、フロア2つにかけて5つのエリアに分かれており、それぞれにシャネルに深く関わる5つの色が割り当てられています。
「ミラーホワイト」「ベージュ」「ブラック」「レッド」「バロックゴールド」
各エリアにはシャネルのメティエダールアトリエで1着作るのに数百時間〜1000時間以上、ドレスなどのものによっては2000時間以上かけられたオートクチュールが展示されていました。
また服だけでなく各カラーで纏められたエリアに1つ、眩く輝くダイヤモンドのハイジュエリー(1932年に誕生した伝説的な「BIJOUX DE DIAMANTS」の復刻版と、現代のハイジュエリーコレクション)とバカラ社製No.5の香水ボトルが飾られていて、こちらも見所。
↑ シャネルの好きな数字「5」が付けられた香水の謎 |
N°5の香水の香りは調香師エルネスト・ボーによって80種類の香料を組み立て作られたフローラルブーケ(ローズ ドゥメ、ジャスミン、イランイラン、サンダルウッド)。
合成香料のアルデヒドを大胆に配合することによって謎めいた繊細な印象を与え、香水の革命を起こしたと言われています。
↑ シャネルのN°5香水の新作「ロー」
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🌸ワークショップ
無料で開催されていた各30分以内のワークショップも魅力的でした。
①「刺繍のアトリエ」(10/19〜11/3)シャネルのファッションメティエダールに名を連ねるアトリエのひとつ「モンテックス」による参加型の刺繍のワークショップ。
高い技術を持つ刺繍職人とともに2種類の合同作品の制作に参加できる。モンテックスは立体刺繍を得意としたアトリエとのこと。これ参加したかったなあ。
②「ハイジュエリー」(11/4〜11/17)ハイジュエリークリエイションスタジオに所属するアーティストによる金箔貼りの参加型ワークショップ。
③「シャネルN°5」(11/18〜12/1)専門職人による香水のボードリュシャージュ(伝統的なボトル密封法、ハンドシーリング)天然由来の薄膜をボトルのネックにかぶせ、パールコットンの糸を二重に巻いて固定。
シャネルはこの貴重な伝統的ハンドシーリング技術を今も使用している数少ないパフューマーハウスのひとつ。11/21の時点で事前予約はすでに満席だったので参加はできませんでしたが、少しだけ見学だけさせてもらいました。
フランスからの職人さんが実際に目の前でやっているのを見て説明を聞き、各参加者は香水ボトルのデザインが印刷されたカードにシーリングをする手順になっていたようです。(撮影不可のため写真はありません)
🌸アプリ
この展示専用のアプリがあり、展示横QRコードをスキャンすることで宮沢氷魚さんの音声ガイド、ルック(展示されたクチュールを着たモデルが歩くランウェイ映像)、アトリエの職人さんの手仕事の動画、シャネルのアパルトマン360°ビューなど、シャネルを隈なくプロモーションする仕様になっていて、これがなかなか楽しい。
音声ガイドの宮沢氷魚(みやざわひお)さんはアメリカ、サンフランシスコ生まれの東京育ち、2015年デビューのMEN‘S NONNO専属モデルです。
なんとお父様がTHE BOOMの宮沢和史さんなんです。言われてみれば確かに雰囲気ありますよね。
展示はワークショップ以外の撮影が可能だったのですが、難点はアプリを起動している最中にカメラモードにするとアプリが初期表示に戻るので、そのたびにQRコードを読み込みに行かないといけないことがちょっと面倒でした。
とはいえ、この展示のボリュームは相当なもので、とても充実の展示会であることには変わりはありません。
そうそう、会場専用自撮りモードもありました。夜勤明けでクマが凄かったので撮影しませんでしたが、撮っておけば良かったかなあ。
🌸鏡張りの階段
入り口を入ると正面に階段があり、角度を変えて見ると螺旋階段に見える騙し絵仕様になっています。階段は真っ直ぐですが、ある角度から見ると壁の絵と繋がり螺旋階段に見えるというもの。
さっそくアプリを起動させると360°ビューに出てくるのがパリのカンボン通り31番のシャネル旗艦店(1918年オープン)にある大理石の螺旋階段。黒い鉄製の手すりと壁面を覆う鏡が写す無限のイメージがキュビズムの絵画を思わせます。
このアールデコ調の螺旋階段は、映画ココ・アヴァン・シャネル (字幕版)の最後にもオートクチュールに身を包んだモデル達と階段から降りてくるシャネルのシーンで出てきます。
カンボン通り31番地はシャネルが一棟買いした建物で、1階ブティック、2階がオートクチュールの展示と試着、その上がシャネルのアパルトマンになっていたそう。
シャネルが一度も寝ることのなかったと有名なアパルトマンです。
展示は2階がスタート。階段を上がると目の前の壁に「ドア」があるのですが、よく見るとこれが全て刺繍で出来ているんです!
制作時間はなんと1200時間。立体刺繍が得意な「モンテックス」によるものだそうです。
ところでシャネルは一人になるのが怖かったという話があります。
「ドア」を嫌がり、パーテーションなどで隠していたとか。
あの螺旋階段をだまし絵にした階段を上がった先にドアを配置してあるというのは時空を超えてこっそりシャネルのプライベート空間にお連れしますと言われているような気がして不思議な気持ちになります。
🌸「白」WHITE
「白」はガブリエルが好んだ色のひとつ。ブランドの象徴となる黒のトリミングが施されたツイードスーツは白であり、白はシャネルにとってなくてはならない色。
展示されているのは2017年春夏のオートクチュールと2018/2019の秋冬オートクチュール。
2240時間製作に要したジャケットとパンツのクチュールを纏うボディ頭部にはこれもまた多大な時間をかけて製作されたビーズのマスク(アトリエ「ルサージュ」による)が装着されていて、このマスクはなんと東京会場限定との事。
すごい力の入れようです。無料の展示と思えない!
ボディと共に展示されている「ドア」はアトリエ「モンテックス」によるもの。メタリック加工のレザーやクリスタル、ビーズ刺繍で、なんと制作時間290時間。
「女性はすべての色については考えるけれど、色を使わないことについては考えない。私は、黒という色にはすべての要素が含まれていると言ったの。白も同じ。この2つの色には絶対的な美しさがある」
ガブリエル・シャネル
🌸「ベージュ」BEIGE
「ベージュ」はガブリエルが週末を過ごしたリゾート地、ドーヴィルやビアリッツ、ヴェニスのビーチの濡れた砂を思わせるサンドベージュを好みました。
アパルトマンにもベージュのスエードソファを配置しており、合わせてあるのはダイヤモンドステッチが施された同素材のクッション。ゴージャス!
当時はスエードをソファに使う事はなかったそう。インテリアにも革新的な美意識が反映されています。
シャネルはベージュを自身のクリエイションにおける重要な色として定めました。
2016年春夏コレクションからオートクチュール5点の展示。この部屋のドアはアトリエ「ルサージュ」による刺繍で制作時間は900時間。マスクはアトリエ「ルマリエ」によるもので制作時間は77時間です。
「ベージュ」マスクとドア 「ベージュ」
オートクチュール
オートクチュールの手仕事、刺繍は実に素晴らしかったです。こんなに間近で見られる機会なんてないですから、大興奮!
静的な展示ではありますが、アプリを起動させるとコレクションでモデルが目の前にあるオートクチュールを着てランウェイを歩く姿を動画で見ることもでき、大満足。
「私はベージュが好き。私の色であり、常に流行している色」
ガブリエル・シャネル
🌸「黒」BLACK
シャネルのアパルトマンには黒い漆塗りのコロマンデル屏風があります。黒というのは喪服であったり修道女や使用人の着る色とされていました。
1920年代、エレガントでモダンなリトルブラックドレスが注目を浴びて雑誌で大絶賛されました。以来、ワードローブに欠かせない色となったのです。
「黒」マスクとドア 「黒」オートクチュール
この部屋にあるのは2002年〜2020年秋冬のオートクチュール。ドアはアトリエ「モンテックス」制作時間は380時間。マスクは「ルマリエ」77時間です。
アプリの360°に映し出されているのはダイニングルーム。
黒い漆塗りのコンソールテーブル。めちゃくちゃかっこよかったのですが、ここからアプリのスクリーンショットがうまく撮れなくなってしまい、アプリ写真はありません。涙
ココ・アヴァン・シャネル (字幕版)では冒頭、幼少期のシャネルが修道院に入れられるエピソードから。黒い服が印象的。
「私より前には、誰も黒を使おうとしなかった」
ガブリエル・シャネル
🌸「赤」RED
「赤、それは命の色」力強い赤はマドモワゼルシャネルのお気に入りの色。ライティングデスクのそばの本棚には赤い皮張りの書物が並べられ、シャネルのアパルトマンの随所に見られるカラーでもあります。
シャネル自身も赤を纏うのが好きでしたが、ランウェイショーでも必ず赤を用いたものが1つはあったそう。
カールラガーフェルド(1933年生〜2019年2月没)はドイツ出身のデザイナーであり写真家で、1971年にマドモワゼルシャネルが没して以降、低迷していたシャネルを再興させたファッション界の重鎮です。
彼は1984年からシャネルと契約していましたが、彼のコレクションにも赤は常に登場しており、コーラル、朱赤、紅色、ガーネット、ルビー、赤紫と幅広い赤の使用がありました。
赤の部屋にあるのは2014年〜2020年オートクチュール。ドアは「ルマリエ」制作時間は175時間。
マスクはリュネヴィル刺繍の技法でスパンコールと浮彫模様を施したパーツが組み込まれ、表面にカッティングしたビーズ、ガラスパーツ、オーガンザ素材のプリーツ、プラスチックの刺繍。
「赤」マスクとドア 「赤」オートクチュール
赤いネオプレーンのドレスも「ルマリエ」によるもので、2014年/2015年の秋冬コレクションです。実に美しい。制作時間は610時間です。
「赤、それは命の色」
ガブリエル・シャネル
🌸「バロックゴールド」GOLD
ヴェネツィアのサンマルコ寺院の至宝、トルチェッロのビザンチンモザイクや中国の屏風など、ゴールドはシャネルにとって重要なインスピレーションの色でした。
シャネルはゴールドに塗られたキャンパスでアパルトマンの壁を覆ったりしていたそうです。ゴールドの部屋の360°は「暖炉」、サロンのマントルピースの上に掛かる大きな鏡を縁取るバロックゴールド。
現在ゴールドはダークトーンやプレシャスなツイードに、レースやメタリックな刺繍で使われており鮮やかな彩りを与えています。
「ゴールド」
オートクチュール「ゴールド」マスクとドア
この部屋では2010年から2016年秋冬のオートクチュールが展示されています。アトリエ「ルサージュ」によるマスク、制作は115時間。ドアはアトリエ「ルマリエ」によるもの。
また、このエリアの後にダイヤのジュエリーと共に展示されているN°5のボトルデザインは1921年発売当時のものだそうです。
「私は8月生まれ、ゴールドがお守り」
ガブリエル・シャネル
🌸展覧会のためのスケッチ
今回の展覧会を開く為にインスピレーションを得たスケッチなどが壁面を飾ります。
タイトルの原案デザイン、各テーマカラーのパレット、刺繍のサンプルみたいなものもあり、これはこれでかなり面白い。デザインの現場を垣間見れる貴重な展示です。
また、「ゴッドファーザー」「地獄の黙字録」などの映画を監督したフランシス・フォード・コッポラの娘ソフィアコッポラ(映画監督、デザイナー)が今回、
東京のエキジビションのために編集した動画「ソフィアコッポラの視点」も上映しており貴重なフィルムを見ることが出来ます。
🌸お土産
ちなみにこの展示会、お土産までもらえちゃう仕様だったんです。キャンバス製ポーチ、今回の展覧会概要を載せたブック。こんなに内容の濃い展示で、素敵なお土産まで貰ってよいのかしら。
ちなみに丸の内のフォーシーズンズホテルにあるレストラン「MOTIF」で、ガブリエルシャネルの香りをモチーフにしたアフタヌーンティーがあり
そちらにも行ったのですが、白と黄色が基調となった華やかなスイーツとガブリエルシャネルの香りを構成する柑橘系エッセンスが仕込まれた
素敵なアフタヌーンティーだったので、興味ある方は是非記事を読みにきてください✨
ちなみにわたしはシャネルと言えば化粧品と香水くらいしか買った事がなかったんですが、実際にオートクチュールのデザインと上質な生地、職人の刺繍などを見ると、めちゃくちゃシャネル欲しくなりました。
チェーンバッグとか一つ持ってたら一生モノになりますよね。持ってないから価格帯とか全く知らなかったんですけどネットで調べてみたところ、想像を超える値段が出てきて気を失うところでした。。
↑ 中古でもチェーンバッグは30万近かったり…涙 |
ああ、でも欲しいな。いつか。お洒落だなあとつくづく思います。
ランウェイファッションは憧れだし、「ココ・アヴァン・シャネル」の映画が好きなので、本当に感動しました。今回の展示会に感謝です☺️
Lin🌸