Banksy(バンクシー)展が横浜(アソビル)で2020年3月15日〜10月4日で開催されていたので、行ってみた。レポの続きです。
2018年からモスクワ、サンクトペテルブルク、マドリード、リスボン、香港の5都市を巡回して100万人以上の観客を動員した展示なので結構ボリュームがすごい。というわけで3回に分けてお送りしています。
バンクシー展に行ってみた。レポその②は、パレスチナのウォールドオフホテル、ディズマランド、バンクシーVSブリストル美術館をご紹介。
あのバンクシーのホテル、テーマパーク、美術展ってなかなか面白そうじゃないですか?
実は個人的には今回の記事、バンクシー展に行ってみた。その②の内容が一番面白い内容だったりします。
ちなみに大阪(南港AT Cギャラリー)でも10月9日〜2021年1月17日までの開催となっているのでご興味のある方はぜひ。(チケットは予約制なので公式サイトをチェックしてください〜)
🌸バンクシーのホテル: ザ・ウォールド・オフ・ホテル(世界一眺めの悪いホテル)
「ザ・ウォールド・オフ・ホテル」(The walled off hotel)は2017年の3月にパレスチナ自治区内に建てられたホテル。「世界一眺めの悪いホテル」である。
🌸分離壁(隔離壁)、ザ・ウォール
イスラエル政府は自爆テロ防止の名目でイスラエルの西岸地区とヨルダンとの間に分離壁(隔離壁)を建設中なのだが、分離壁は堀・有刺鉄線・電気フェンス・警備道路、それから高さ8メートルにもなるコンクリート壁で構成されている。
検知した標的を自動的に攻撃する複数の監視塔も設置しており、非道にもAIが多数の侵入者を射殺しているため国際的に物議を醸し出していた。
この壁に2005年8月、バンクシーは9枚の壁画を残していった。壁画製作中にイスラエル兵に何度も銃を向けられたが、それでも絵を全て完成させたという逸話がある。
さてその分離壁からわずか4メートルの位置にこの「世界一眺めの悪いホテル」があるのだが、客室に直射日光が入るのは1日わずか25分、どの部屋からも分離壁とイスラエル軍の監視塔が目に入るという立地。
部屋によっては国際法下では違法とされているイスラエルの入植地を見れるという。
1泊のお値段は30ドル〜なんと965ドル(約10万円)のスイートルームまで!
ちなみにホテル名の由来はニューヨーク5番街近くにあるお洒落な高級ホテル「ウォルドルフ=アストリア」(Waldorf Astoria)の名前を文字ったもの。
現在改装中のようですが1泊2万8千円からのようですね。さすがヒルトングループです。
さて話を「ザ・ウォールド・オフ・ホテル」に戻しましょう。
バンクシーがこのホテルを手がけた目的というのが、イスラエルから来た観光客にパレスチナ人が分離壁の傍でどんな苦痛を感じながら生活しているか知らせたかったということだが
実際にはイスラエル人が自治区に滞在すること自体が禁じられているので、当初の目的は遂げられてはいなようではある。
けれどパレスチナ問題に世間の目を向けさせようという目的については、その手段として消費主義…つまりホテルの滞在客は人気の場所だからという理由でお金を支払っていくことで
結果的に町は税金を手にし、旅行者はコンクリートの壁の裏側でどのような暮らしが営まれているのかを知ることができるというものに。
…バンクシー頭良いなあ(小並感)
🌸客室の再現展示、内装
羽毛を飛び散らせながら枕を持って戦うイスラエル兵とパレスチナ人が描かれている部屋はホテルの再現展示である。
ホテルには20点を超えるバンクシーの作品、パレスチナ人アーティストの作品が複数展示されている他、コロニアル調(植民地様式)の内装にはガスマスクが並んでいるという。
(ちなみにパレスチナは1920年代、イギリスの委任統治領でした)
デラックスなスイートルーム(プレジデンシャル・スイート)にあるクッションからは内臓が出ている蛇が飛び出ていたり、ジャグジーのお湯がパレスチナ人の家の屋上にあるような給水タンクから漏れるように出てきたり、
20ドル払えば分離壁に政治的ステンシルをスプレーすることができるなどといった実にバンクシーらしい発想があちこちにみられる仕様となっているようです。
…どう考えても危険地域ですが、
いつか行ってみたいですね(消費主義的感想)
🌸バンクシーのテーマパーク: デズマランド(Dismaland)
私が個人的に非常にそそられた内容がこちら、「ディズマランド」(Dismaland)
どこをどう切ってもディズ◯ーをディスってい…
あっ、何をする!やめr()
このディズマランド、2015年にバンクシーがプロデュースしたアートと風刺のテーマパークです。
ディズニーランドに「陰気な」という意味の単語dismal(ディズマル)を組み合わせた名前。
映像インスタレーションにはひっくり返った魔法の馬車からシンデレラの半身が飛び出ていてこちらと目が合うという若干悪趣味なものも。(若干どころではないかも)
バンクシー展では座って紹介映像が見られるベンチのコーナーがあり、食い入るように見てきました。
この廃墟と化したシンデレラ城のディストピア感は堪らないですね。
偽のセキュリティチェックを抜けて中に入るとディズ◯ーを皮肉った園内に現代美術作品があるのですが、
このIt’s a small worldに見立てた船にはひしめく様に難民が乗っていたりして
実に世界レベルでのシニカルな…強烈な風刺を感じます。
ちなみに映像の最後、「マジックはエターナル(永遠)に残る」というべき文言が「エターナルではなく5週間だけ残ります」(英語どんなんだか忘れたけどそんな雰囲気)になっててちょっと笑いました。
開催期間が5週間だったんですねぇ。
ディズマランドはイギリスのサマセット州で15年前に閉鎖したウェストン=スーパー=メアの屋外プール施設の跡地に設置されたのですが、
現代美術作家ダミアン・ハーストやジェニー・ホルツァーなど58名ものアーティスト作品が展示されました。
閉園日にはコンサートがあり、プッシーライオット(ロシアのフェミニストパンクバンド)、デラソウル(NYのヒップホップ・グループ)、デーモンアルバーン(Blur)などが出演。
悔しい、行きたかった。
入場料はなんと3ポンド。その当時のレート184円で550円ちょっとですよ。
安っ!…行った人が羨ましすぎる。
ちなみに15万人が来場し、地元の経済効果は2000万ポンドと言われているそう。(当時のレートだと36億円以上…?)すごいなあ。
🌸バンクシーの美術展: バンクシーVSブリストルミュージアム
ここまでバンクシーのホテル、テーマパーク、美術展について書いてきましたが、
パレスチナ(旧イギリス委任領)→イギリスと来て、3つ目もイギリスです。
イギリス西部の都市ブリストルにブリストル・ミュージアムという美術館を併設している市立の博物館があるのですが、
この伝統的・歴史的な雰囲気の漂う重厚な外観の建物で2009年6月にバンクシーの個展が開かれました。
このミュージアムの常設展作品に溶け込むように展示されたバンクシーの作品はなんと100点以上。
入場だけで数時間待ちとなるほど多くの来場者があったのですが、バンクシーの報酬はわずか1ポンド(当時のレートで142円)。ブリストルミュージアムの館長に「これまで投資したなかで最も価値のある1ポンド」と言わしめたといいます。
その個展で実際に展示された貴重なポスターや、バンクシーのインスタレーションの写真が展示されていました。
ああ…めちゃくちゃバンクシーらしい雰囲気の作品ポスターです。笑
こんな感じのポスターが何枚か、バンクシー展で展示されていましたが、実際はどんな展示だったのでしょう?
調べてみると、こちらのサイトに色々と出ていました。なるほど、これは面白い展示ですね!
溶け込むように展示って音声ガイドにあったけど、結構はみ出てますやん。
↓バンクシーVSブリストルミュージアムの動画や作品が実際どんなだったか、こちらのサイトで詳しく見ることができます↓
↓バンクシー展その①記事はこちら↓
↓↓バンクシー展に行ってみた。その③の記事へはこちら。↓↓