バンクシー展@横浜「天才か、反逆者か?」行ってみた。レポ①

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BANKSY(バンクシー)といえば物議を醸し出すグラフィティアートで全世界から注目されているアーティスト。

イギリスを拠点に活動しており、アメリカ、ヨーロッパ各地に忽然とストリートアート作品を残す謎の存在。今回の展示では70点以上の作品が初上陸というとやはり行きたいですよね。

…というわけで、行ってまいりました!思った以上に盛りだくさんの展示で楽しかったので、ちょっとボリューミーですが3回に分けて書いていきたいと思います!

「2018年からモスクワ、サンクトペテルブルク、マドリード、リスボン、香港の世界5都市を巡回し、100万人以上の人々を熱狂させた展覧会が日本にやってくる!」(公式サイトより)

展示期間は横浜(アソビル)で2020年3月15日〜10月4日、大阪(南港AT Cギャラリー)10月9日〜2021年1月17日までの開催となっているので、

機会があれば行ってみることをオススメしちゃいます。

ちなみに予約制なので公式サイトで先にチケットを購入しておきましょう。

バンクシー展 天才か反逆者か
2020年10月9日(金)~2021年1月17日(日) 大阪 ATC Gallery | 世界のアートシーンに衝撃を与える70点以上の作品が、過去最大級の規模で日本初上陸!

🌸バンクシー、天才か反逆者か BANKSY. GENIUS OR VANDAL?

バンクシー展「アーティスト・スタジオ」

バンクシーはステンシル(型版)を使用したグラフィティアーティスト。街角の壁や橋などにエピグラム(機知・風刺に富んだ短い文や詩。警句。寸鉄詩。)を添えて描くのが彼のスタイル。

彼自身の存在は謎に包まれているため、グラフィティアートを生み出すアトリエ(スタジオ?)を架空のイメージで表現した部屋から展示は開始

彼の風刺的グラフィティ&エピグラムは時に物議を醸し出し、人々の心に衝撃を与え記憶に残るのですが

壁面に描かれた作品はすぐに塗りつぶされてしまっており、現存しているものは多くないそう。

複数の個人コレクターの協力にてオリジナル作品や版画、立体オブジェクトなど70点以上を集結させたのが今回の展示とのこと。

どんな人物なのか謎に包まれていますが、彼は一体何者なのでしょう。

「天才なのかそれとも単なる反逆者なのか?」

(展覧会の中で特に印象的だったものについてご紹介していきます)

バンクシー展に行ってみた。記事その①は、消費主義、政治、戦争、抗議など。BlurのCDシンク・タンクなどご紹介。(2ページあります)

🌸消費とは?

バンクシーは資本主義社会の「消費」について警鐘を鳴らすような作品を多く生み出しています。

多くのものを購入することで孤独を埋める人々。それが繰り返されても残るものは空虚しかないというのに。

🌸DI フェイスド・テナー

個人的に「DI フェイスド・テナー」のエピソードが興味深いです。

2004年の8月にバンクシーは10ポンド札の偽紙幣を100万枚印刷してノッティングヒルのカーニバルでばらまきました。

バンクシー展より 「DI フェイスド・テナー」
バンクシー展より
「DI フェイスド・テナー」

発行BANK(銀行)を自分の名前にかけて「(バンクではなく)バンクシー・オブ・イングランド」と書きかえ、エリザベス2世ではなくダイアナ皇太子妃の肖像画に変えた上に、

請求していただければ額面金額を支払います」、もう一方の面にはダーウィン(人間の進化論を唱えた著名人)を載せ「誰も信用するな」と書きました。

なんという皮肉なユーモア!

しかし…100万枚の一部をカーニバルの群衆めがけてばらまいたところ、その紙幣で支払いをする人が出てしまったのです。

つまり紙幣を拾った人々がそれを偽物と知りながら買い物に使用し、受け取る店もあったということ。正直者はいないのでしょうか?

この2枚の写真の中に写る紙幣で右上のものが元になった紙幣。確かに全然違う(笑)

結局、ダークユーモアでばら撒いた偽紙幣は偽札であるとバンクシーは気づき、残りの紙幣はばら撒くのをやめたと言います。

🌸ケイト・モス

バンクシー展より「ケイト・モス」
バンクシー展より「ケイト・モス」

「ケイト・モス」(写真真ん中)はどこかでみた事があるデザインだなと思うと、アンディウォーホールのシルクスクリーンのデザインをそのまま踏襲した作品だったりする。

真に価値あるアートよりもブランドネームや人気があるものに人々はお金を払う、という事への風刺というのがバンクシーらしいというか。

当時のカバーガール(雑誌の表紙を飾る「顔」となるモデルなど)がケイト・モスだったから選ばれたようですが、表情が笑ってない(というか若干怪訝な顔?)なのも風刺的。

↓アンディウォーホールの作品をアートフレームにした商品はこちら↓

本家の作品、マリリン・モンローは笑ってますけどね…笑

🌸ブラー「シンクタンク」

バンクシー展より
「ブラー シンク・タンク」

ブラー(Blur)は1990年代以降のイギリスで代表的なオルタナティブ・ロックバンド。

ブラーのリーダーのデーモン・アルバーン(ボーカル、ギター、キーボード)は覆面バンド(バンドメンバーがアニメキャラになっている)「ゴリラズ(Gorillaz)」の中心メンバーであり、核兵器廃絶の支持者。

2003年に発売した「シンク・タンク (CCCD)」では反イラク戦争の活動を通じており歌詞も政治的色彩が色濃いものとなっています。(イギリスヒットチャート1位を獲得)

ゴリラズ(GORILLAZ)はMTVで流れるPV(アニメ)が好きで良く聞いていたのですが、本家のブラーはそういえば聞いたことがない…というわけでApple musicで聞いてみました。

あ、これ結構いいな。かっこいい。ゴリラズよりポップさを抜いた感じですね(つまり、ちょっと暗め)。

Blur ブラー / Think Tank 【SHM-CD】

それにしてもなぜバンクシーが特定のバンドのジャケットをデザインしているのでしょうか?

交流があったというのは言わずもがなでしょうが、実はバンクシーの正体は先に述べたミュージシャンの誰か、という説があります。

ドラムン・ベースの帝王でグラフィティアーティストのGoldie(ゴールディ)がScroobius Pipのポッドキャストでバンクシーのことをうっかり「ロバート」と呼んだということもあり、

ロバート・デル・ナジャ(バンドのマッシヴ・アタックのリーダー)がそうではないかと言われていました。

最近ではジェイミー・ヒューレット(イギリスの人気コミック“タンクガール“の作者。ゴリラズのコミック・アーティスト。)がバンクシーの正体なのではと言われているようです。

↓コミック「タンクガール」は映像化しているんですね↓

🌸政治

バンクシー展より「ブレグジット」

バンクシーが好んで取り上げるテーマに「政治」があります。

「世界をよりよい場所にしたいと望んでいる人間ほど危険なものはない」という言葉がバンクシーのエピグラフにあるように、国民や大衆を操作するための“手段“(政治)が嫌いなようです。

バンクシー、天才か反逆者か?という問いは、反政府主義的な価値観からきているのでしょう。

イギリスのEU離脱などに意見したりしているほか、エリザベス2世のゴールデン・ジュビリーの式典に際して、有名な女王の像を白黒のサルの肖像と置き換えた作品を出したり、

ヴィクトリア女王を卑猥な性行為中のレズビアンとして描いたり…(結構、めちゃくちゃやってますよね)

🌸モンキーパーラメント

バンクシー展より「モンキーパーラメント」
バンクシー展より「モンキーパーラメント」

この絵をパッとみると会議中のイギリス議会議事堂に見えます。が、良くみると全員猿。

口を開けて騒いでいる様子の猿、バナナを握りしめている猿、威嚇的表情の猿など。日本の国会のように寝ている人はいないようですが、この緊張感のある空気は何か?

音声ガイドによると、「議員たちによる経費不正申告という国民的スキャンダルに応じて制作された」作品とのこと。

それで皆さん(猿)、真剣なのですね。

🌸スマイリー・コッパー/フライング・コッパー

重装備に身を包んだ警官はマシンガンを持ち、スマイリーの黄色いお面をつけている。その下の表情はわからない。
民間人に対する警察の暴行は珍しくない、それは組織的なものとなってきているとバンクシーは言い、誰も信じるな、権力と権威を振りかざすやつらは疑うようにと警告をしている。

バンクシー展より「フライングコッパー」
バンクシー展より
「フライングコッパー」

本来なら守ってくれるべき存在であるのに、嬉しそうに破壊行動を行うイメージではないか。

🌸戦争と抗議

バンクシー展より『LOVE IS IN THE AIR」
バンクシー展より『LOVE IS IN THE AIR」

バンクシー作品の凄いところは、瞬間的に訴えたいことを激烈な皮肉とともに見る者の心に焼き付けてくるところだと思う。

「LOVE IS IN THE AIR」は手榴弾(火炎瓶か?)を投げる若者の姿に見せかけて手に持つものは花束になっている。反政府活動をする若者というイメージ像ではあるが、抗議をするのに効果的な武器は実は「花束」なのだろうか?

バンクシーは戦争についても作品を数々残している。

「世界で最も大きな犯罪を実行するのは、規則を破る側ではなく、規則を守る側の人間だ。命令に従う連中が爆弾を投下し、いくつもの村を破壊する」

バンクシー

🌸ナパーム

バンクシー展より「ナパーム弾」
バンクシー展より「ナパーム弾」

この作品の真ん中にいる少女は、1972年にベトナム系アメリカ人ニック・ウト(写真家)によって撮影された「ベトナムのナパーム弾」からのイメージ。

「地獄からハリウッドまで」|ベトナム戦争で「あの少女」を撮った男が半生を激白!
ベトナム戦争の悲劇を捉えた写真「戦争の恐怖」は、1973年にピュリツァー賞を受賞し、世界中の人々に衝撃を与えた。ナパーム弾の攻撃を受けて裸で逃げる少女を撮影したのは、ベトナム人写真家のニック・ウト(本名:フィン・コン・ウト)。2017年3月、約50年つとめたAP通信からの引退を表明した。東京支局の勤務経験もある彼は、…

ピュリツァー賞を受賞した元の写真ではナパーム弾による攻撃から逃げ惑う子供達が写されているのだが、この作品ではアメリカ文化(ミッキーマウス)と資本主義(マクドナルド)のアイコンが少女の両側に配置されている。

ゾッとする作品だ。

ベトナムの少女は恐怖で泣き叫んでいるが、アメリカ文化と資本主義のアイコンは笑顔であり、少女をどこに連れて行こうとしているのだろう。

(音声ガイドによると、バンクシーはここでも広く資本主義の巨大な国と周辺諸国への注意を促したいと考えたようである。)

バンクシー、天才か反逆者か?

この問いについて、さらに展示された内容を見ながら考えていくとしましょうか。

↓バンクシー展その②へ続く↓

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