こんにちは、Linです🌸
2019年11月16日から2020年2月16日まで、東京都現代美術館で開催していた「ミナペルホネン 皆川明 つづく」展を観に行ってきました!
「100年つづくブランドに」という想いから始まったデザイナー皆川明氏のデザイン、クリエイションの源流を紐解く過去最大規模の展覧会ということで、ワクワクしながら前売り券を買ったにも関わらず、結局会期終了直前の2月15日(しかも土曜日)に行く羽目になってしまい、混雑してるんだろうなあと思いながらも奮起して観に行った次第。
当方、看護師をしておりまして、この日はなんと夜勤明け。
しかしこの日しか行けると日程がないくらい2月はカツカツだったのでございます。
結論から言いますと、いやはや、行ってよかったという一言に尽きる…
私個人的にはミナペルホネン自体に元々すごく思い入れがあったわけではないのですが、ファッションデザインってすごくアートだと思っているので、開催前から注目の美術展でした。(公式サイトはこちら)
🌸見どころ・展示会の構成
会場は皆川氏自身が命名した「実」「森」「風」「芽」「種」「根」「土」「空」の8つの部屋があり、建築家の田根剛氏が会場構成をされたそう。
展示内容は皆川氏が「ミナペルホネン」の前身である「ミナ」を立ち上げた1995年から2020年まで。
おおよそ25年にわたるデザインの源流とアイデアなどが一堂に展示されるというなかなかのボリューム。
こちらは入り口の写真ですが、ひとつひとつ違うテキスタイルデザインのクッションが壁一面に並んでとても可愛い。
🌸8つの展示室へ
「実」tambourine
「実」の部屋には、ミナ時代からのアイコニックな刺繍「タンバリン」(2000年~)がどのように作られているのかの説明と、タンバリン生地を使用した服とバッグ、インテリア製品の展示部屋です。(撮影不可)
タンバリンは25個の小さなドットがひとつの円を成しているというパターンのデザイン。
ひとつの円を刺繍するのに使う糸はなんと6.93m、時間にして9分37秒。生地1反につき円の刺繍は6760個で、その刺繍時間は約4時間30分。
手作業ではなく機械によるものではありますが、ここにこんなに時間がかけられているということはそれだけ丁寧に手をかけられているものだということが感じられます。
また、フリーハンドの鉛筆で描かれた原画の雰囲気を再現するかのようにドットの膨らみも不揃い。
幾何学的でありながら温かみのある印象なのはこうした訳があったのですね。
「森」pieces of clothes
「森」の部屋には1995年春夏から2020年春夏まで半年ごとに発表してきた400着以上の洋服の森。
細長い部屋にこの数のトルソーが並ぶのは圧巻。
それぞれの可愛さをじっくりと。
それよりもなによりも、25年間という長い期間に作られてきた洋服、どの服が古くてどの服が新しいデザインなのか見分けがつきません。
20年以上たっても古びない洋服ってすごい。
ファッションの流行にとらわれず、長く繰り返し着ていけるものづくりをしているという姿勢に納得。
「風」life and design
(「つづく」図録より)
「風」の部屋には、ミナペルホネンの服を着ている人々の日常を撮った映像作品などが展示されています。(撮影不可)
「芽」designs for textiles
(「つづく」図録より)
ミナペルホネンの特徴は生地からデザインして洋服に仕立てること。
「芽」の部屋には、皆川明氏とインハウスのデザイナー田中恵子氏による生地のデザイン画が展示されているのですが、個人的にこの部屋が一番面白かったかもしれません。(撮影不可)
様々な手法によるテキスタイルデザイン原画
刺繍デザインの原案ドローイングは鉛筆、ブルーのカラーインク(水彩絵の具?)、消しゴムハンコ、アクリルガッシュ、インクといった画材の違いだけでなく、
切り絵で図案を作る時に出来た残りモノの紙を配置して作った原画、
紙に絵具を塗って作った色紙を切って作った切り絵での原画、
山椒のゴツゴツした枝振りを表現しようとガムテープを裂いて貼り付けた原画、
水彩絵の具で描いたチェックをスクリーンプリントを13版重ねて手捺染でしあげたりなど…
原案・デザイン画一つ一つが作品になっていてなおかつテキスタイルでそれぞれのニュアンスを再現しているのが本当にすごい。
「種」idea and study
アイデア源流にふれる哲学と試み
ミナペルホネンのものづくり哲学やアイデアを過去、現在、未来の試みを通して紹介する部屋です。
テキスタイルデザインのアイデア源流にふれるという面ではある意味メインの展示室でもあります。
アイデアが色々なモノからヒントを得ており、どのように形作られてきたのか、映像、小物、イラスト、実際の洋服や映像で展示されています。
シェルハウスとインテリア
奥のスペースには「シェルハウス」が展示されており、皆川氏が将来の夢としてデザインした「簡素で心地よい宿」のプロトタイプです。
シンプルで木の温もりがあり、スタイリッシュな北欧的デザイン。
インテリアが丸ごとミナペルホネンなので、まさに皆川ワールド。
設計図などの展示もあり、模型を見ていても楽しいです。
「根」drawings
新聞挿絵
皆川明氏の活動のひとつに、朝日新聞「日曜に想う」、日本経済新聞「森へ行きましょう」(川上弘美)の挿絵があります。
「森へ行きましょう」では2016年~2017年の連載中に332枚の絵が描かれており、「日曜に想う」は2016年から現在も描き続けられています。
このドローイングシリーズが肩に力が入らず味があり、とても良い感じ。(撮影不可)
「土」memory of clothes
服とその持ち主との関係性に焦点を当てて、個人による愛蔵品と服の思い出・エピソードが展示されています。
服を見て、個人の思い出を読みながら長い歳月が経っているまま色あせない気持ちと洋服を見る展示。
ここまできて私もミナペルホネンの洋服が欲しくなってきました…☺️インテリアも素敵だし。
ミナペルホネン公式サイト見ててもやはりお洒落…なのですけど、何年経っても古びないだけにしっかりした作りなのでお値段も相当する感じ。
古着で探してみるのもありかなあ。
「空」25years
この展覧会にこめた皆川明氏の想いと25年の軌跡についてインタビュー映像を展示しています。
🌸グッズ売り場へ
図録
図録は書店や直営店で流通する表紙デザイン(黒字にタンバリン柄)に加えて会場限定の8パターンのものがありました。
1つだけ売り切れでしたが、他はまだ在庫があり、私はJardinというベルベットのジャガード生地のものをチョイス。2017年-2018年の秋冬作品です。
一般的な美術展の図録はだいたい3000円前後なのでそれに比べると4000円ちょいと少し高い値段設定ですが、印刷カラーが綺麗なので満足度が高く、オススメです。
(印刷業者さんが聞いたらアレかもしれないんですけど、図録って印刷次第で随分と満足度が違うんですよ)
ミナペルホネン/皆川明 つづく はじまりおわりすすみもどる心と象のつくるとつづく [ ミナ ペルホネン ]
すごく良い展示会でした!
私の書いたブログ記事や図録、写真を見返すといまだに「可愛い」に満たされます。(可愛いは正義です)
ちなみに東京会場での会期の次には6月27日から8月の16日まで兵庫県立美術館で開催されていました。
兵庫(神戸)というとファッション美術館(公式サイトはこちら)があります。ファッションをテーマにした日本初の美術館なので、ファッションデザインに興味のある方は是非☆
それから、私のブログ記事ですが、2020年に開催した「ドレス・コード?」展記事も書いています。良かったら覗いてみてください〜
Lin🌸