ピーター・ドイグ展に行ってきました!(国立近代美術館)

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ピーター・ドイグというイギリスの画家さんがいるのですが、色味が綺麗で且つグラフィカルで現代的な構図のセンス、夢の中にいるような絵本的ストーリーを想像させる絵を描くのが特色のアーティスト。

ピーター・ドイグ《ガストホーフ・ツァ・ムルデンタールシュペレ》2000〜02年 油彩、キャンバス196×296cm シカゴ美術館蔵 ©Peter Doig. The Art Institute of Chicago, Gift of Nancy Lauter McDougal and Alfred L. McDougal, 2003. 433. All rights reserved, DACS & JASPAR 2019 C3006
ピーター・ドイグ《ガストホーフ・ツァ・ムルデンタールシュペレ》2000〜02年 油彩、キャンバス196×296cm シカゴ美術館蔵 ©Peter Doig. The Art Institute of Chicago, Gift of Nancy Lauter McDougal and Alfred L. McDougal, 2003. 433. All rights reserved, DACS & JASPAR 2019 C3006

東京の国立近代美術館で開催の「ピーター・ドイグ展」はピーター・ドイグ日本初の大規模な個展。2020年2月26日から開催だったのですが、新型コロナウイルス感染症の関係で2⽉29⽇より臨時休館したのちに6月12日(金)より再開。

会期が10月11日(日)まで延長となっていたので、これなら行ける!と行って来たので、レポしますね。

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🌸森の奥に Into the Woods 1986-2002

1983年にロンドンのセント・マーティンズ・スクール・オブ・アートを卒業したドイグは1986年、かつて10代を過ごしたカナダへ戻ります。

そこで舞台美術や絵画制作を行い、またロンドンに帰って1990年にチェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインにて博士号を取りました。

1992年イギリスの美術雑誌「フリーズ」で作品を取り上げられ、1994年にターナー賞のノミネートを受けたことから注目を浴びるようになります。

1986年から2002年ごろの作品は、カナダの風景を主題にしているのですが、場所や時間を特定され得ない森の中に展開されるイメージ(物語)を想像させ不思議な異世界へ誘います。

この時期の作品はムンク的な色使いが私の好み。

2枚の絵画「カヌー」は、映画『13日の金曜日』のワンシーンが着想源にもなっている「カヌー」がモチーフで、この「カヌー」は他の絵にも度々登場します。

ピーター・ドイグ《のまれる》1990年 油彩、キャンバス 197×241cm ヤゲオ財団コレクション、台湾蔵 ©Peter Doig. All rights reserved, DACS & JASPAR 2019 C3006

ピーター・ドイグ《のまれる》1990年 油彩、キャンバス 197×241cm ヤゲオ財団コレクション、台湾蔵 ©Peter Doig. All rights reserved, DACS & JASPAR 2019 C3006

2015年のクリスティーズ・オークションにて約2600万米ドル(当時約30億円)で落札されたという「のまれる」にもカヌーが描かれています。

この絵は湖の鏡面に映るものの方が湖の外にあるものよりもくっきりと鮮やかに描きこまれていて、不思議な構成。

色や形、シチュエーションや背景にある物語がぼんやりと頭に浮かんでくる、いくら見ても見飽きない魅力のある作品です。

それにしても30億円とはすごい。

“遠山正道×鈴木芳雄「今日もアートの話をしよう」ピーター・ドイグが“画家の中の画家”と呼ばれる理由“サイトぴあの対談が面白いです↓

https://lp.p.pia.jp/shared/cnt-s/cnt-s-11-02_2_02aa6cfc-c4fd-4f8e-b2a8-6a7cfbdfd4ab.html

🌸海辺で By the Sea 2002〜

2000年にドイグはカリブ海の島国、トリニダード・トバゴでの滞在制作に招待されます。そこはドイグが幼少期を過ごした場所。

ドイグは2002年には活動拠点をロンドンからトリニダード・トバゴ(首都ポート・オブ・スペイン)へ移します。

鮮やかな色面による構成がゴーギャン的ですが、理想郷を描いたゴーギャンとは対照的にトリニダードで日常的にみられるモチーフを描き、厚塗りだった油彩は薄塗りの油彩や水性塗料へ。

トリニダード・トバゴってどこにあるのか調べてみたところ、

中米カリブ海に位置するトリニダード島とトバゴ島の2島からなる北緯10度にある共和制国家で、イギリス連邦加盟の島国ですね。ベネズエラの北にあります。

ゴーギャンがいたタヒチはフランス領のポリネシアなので周囲は広大な海。南緯17度です。

トバゴもタヒチもどちらも1年を通じて30℃前後で熱帯気候です。

ゴーギャン「赤い花と乳房」

🌸スタジオのなかで In the studio: studio film club as a community 2003〜

2003年、ドイグはトリニダード・トバゴ出身のアーティスト、チェ・ラブレスと映画の上映会を始めました。

一種の文化サロンのようなもので、コミュニティ形成することを目的に活動していたようです。

ずらっと映画のポスターが並んでいるのですが、公式のポスターとは違ったカットでなかなか面白いです。中には日本映画の「HANABI」「座頭市」「東京物語」なども展示。

私はそんなに名作系の映画を見ていないので分からないものが大半でしたが、映画好きな方はより楽しめると思います。

🌸ピーター・ドイグ作品で物語を作ろう

ピーター・ドイグの絵画を見て自分の頭に浮かんだストーリーを発表するという企画があって、これがなかなか面白かったです。

応募資格は小学生・中学生・高校生であること。2020年8月4日(火)~8月31日(月)が応募期間でした。

なんか村上春樹っぽい文章とかあったり。

個人的にドイグの絵って、童話作家のミヒャエルエンデ「鏡の中の鏡」みたいな不思議でちょっと不気味な感じと不条理のあるファンタジーを彷彿とするんですよね。

(ミヒャエルエンデは「はてしない物語」(ネバーエンディングストーリー)や「モモ」の作者です。)

国立近代美術館のサイトより↓

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🌸ギャラリー

大規模な油彩・水性塗料の作品がゆったりと展示されていてさすがピーター・ドイグ日本初の大規模な個展。

70点の作品展示のなかで映画ポスターの占める割合は多いのですが、じっくりと鑑賞できるのがとても良かったです。

↓より多くの作品を見てみたい方に。画集がこちら。(ただ洋書なので結構良い値段ですが)↓

イギリスアートシーンで注目を浴び、現在は世界で最も重要なアーティストと言われるピーター・ドイグ日本初の大規模な個展、充実していて楽しかったです。

新しいアートに触れる機会にもなって、やはり美術館巡りは良いですね。

↓他にも美術館・アート巡り描いてます!良かったら覗いてみてください↓

Lin🌸

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