バンクシー展@横浜「天才か、反逆者か?」行ってみた。レポ③

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Banksy(バンクシー)展が横浜(アソビル)で2020年3月15日〜10月4日で開催されていたので、行ってみた。レポの続きです。

2018年からモスクワ、サンクトペテルブルク、マドリード、リスボン、香港の5都市を巡回して100万人以上の観客を動員した展示なので結構ボリュームがすごい。

というわけで3回に分けてお送りしています

バンクシー展に行ってみた。レポその③は、バンクシー展の見どころ、グッズ、特色について。作品ではバンクシーラット、パルプフィクション、ガールウィズバルーン作品をピックアップしてご紹介。

それから今回横浜の展示で使用されたガイドや設備の特色、グッズなどについて。

大阪(南港AT Cギャラリー)では10月9日〜2021年1月17日までの開催となっているのでご興味のある方はぜひ。(チケットは予約制なので公式サイトをチェックしてください〜)

↓↓前回書いた記事、バンクシー展レポその②はこちら↓↓

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🌸バンクシーラット

バンクシーといえば活動の根幹は風刺のきいたストリートアートですよね。

街中のストリート(道)で水路や建物・溝の影を走り回る動物といえばネズミ(ラット)です。

壁に何度も描かれるモチーフとなった「RAT」は社会的弱者のイメージをドブネズミに重ねたシリーズ。

「rat」のスペルを並べ替えると「art」になるが、ネズミの絵をかき始めた当初は特に意識していたわけではなく、ラットのシリーズを描き始めて3年程して『art(アート)のアナグラムですね』と誰かに言われた時に気づいたそう。

「もしあなたが薄汚れていて重要でもなく愛されてもいない存在と感じているなら、ネズミは良い役割モデルだ。

彼らは許可なく存在し、社会の階級になんの尊敬も持っておらず、1日に50回もセックスする」

BANKSY

許可なく勝手に存在する薄汚れた小さな動物は憚らず言いたいことを言うのにもってこいのアイコンというわけですね。(1日に50回も生殖するのでかなり大勢になるので…まあ、つまりそういうことですよね)

そんなネズミがピースマークの大きなネックレスをつけ抗議に使うような看板にそれぞれメッセージを持っているシリーズがあるのですが

この展示にあった作品中には「GET OUT WHILE YOU CAN(できる限り、出ていってて)」「BECAUSE I’M WORTHLESS(私は価値がないので)」「WELCOME TO HELL(地獄へようこそ)」と書かれていました。

なかなかの皮肉なメッセージですが、どこか可笑しさもあるのがバンクシー流。

🌸パルプフィクション

「パルプ・フィクション」(1994年、アメリカ)というとクエンティン・タランティーノの代表作の一つですね。

タランティーノといえばキル・ビルなど暴力的な描写も多い映画監督ですが、パルプ・フィクションも御多分に洩れず勢い良く引きこむ展開・構成、俳優陣、ポップでパンチのある音楽やお洒落感など、魅力が満載なサブカル系映画です。

パルプフィクション pulpfiction ポスター

バンクシーの「パルプ・フィクション」は銃を構えるヴィンセント・ヴェガ(ジョン・トラボルタ)とジュールス・ウィンフィールド(サミュエル・L・ジャクソン)の武器がなんとバナナになっているというもの。

バナナというとサルですし、このバナナのイメージはアンディ・ウォーホルを彷彿とさせる色味と表現で、実にユーモラス。

この作品は2002年、オールドストリートにある家の壁に登場した後、バンクシーがプリントスクリーンにしてバッジにしたりなど人気のある作品でした。

ところが2007年。なんと人々の残虐性を刺激するという理由でロンドン交通局はこの作品を塗りつぶしてしまいます

パルプ・フィクション作品に関する一連のエピソード


バンクシーは「パルプ・フィクション」をテーマに再び作品を作りましたが、ヴェガとジュールスが着ているのはなんとバナナ。その格好で銃を構えるというものに。

そこへ…オゾンというグラフィティ・ライターがこの作品に「次のがもっとましなら、残してやるよ」というメッセージを上書きしたのですが、この数日後、オゾンは電車に轢かれて死んでしまいました。

バンクシーは、同じ場所でオゾンに捧げる作品…防弾チョッキを着た天使が野球帽を被った骸骨を手に持つ作品を描きました。

この作品についてバンクシーは、「Say no to art fags. Rest in peace, Ozone.(アートファグにノーを。オゾンよ、安らかに眠れ)」と書いているのですが、

Fag(ファグ)というのはゲイに対する侮蔑的表現のスラングであるFaggot(ファゴット)の短縮形のようなニュアンスの言葉だが、侮蔑的というより冗談の様な軽さがある言葉。

ということは「アートファグ」というのはどっちつかずな半端さのあるアートということなのでしょうか。

このメッセージはグラフィティを入り口にコマーシャル・アートに入っていこうという若者を非難している様である。グラフィティを、有名になって金儲けするためだけの活動として利用する人々をバンクシーは嫌いなようです。


果物が武器になっているというイメージの元になっていると思われるのがイギリスの国民的コメディアン・グループ、

モンティ・パイソンによるコント『セルフディフェンス・アゲインスト・フレッシュ・フルーツ(フルーツから身を守る方法)』(1969年)

製作が60年代最後の年で少々古臭そうな気になるかもしれませんが、今をもってなおじわじわと腹筋にくるコント(イギリスではスケッチという)で、モンティ・パイソンの作品の中でもなかなかの秀逸な出来のコントです。

空飛ぶモンティ・パイソン 「果物から身を守る方法」
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🌸ガールウィズバルーン

少女の手からハートの風船が飛んで行こうとしているこの有名な絵の感じ方は、人によってさまざま。

飛んでいく風船に焦点を当てれば自由になる感じがあるだろうし、飛んでいってしまう(置いていかれる)ことに焦点を当てれば喪失感を感じるかもしれない。

もしくは少女は誰かに愛を飛ばしているのかもしれない。風船なので宛先が決まっていないのか、相手に確実に届けるつもりがないのか、手の中から愛を手放そうとしているのだろうか?


2002年、この絵はロンドンのサウス・バンクにある階段下の壁に描かれました。ロンドンのサウス・バンクといえば過去に倉庫街だった場所で、現在は再開発によりコンサートホールや劇場、美術館、レストランなどで観光地となっている。

この元倉庫街に、バンクシーは清潔で穢れのないイメージを求めて絵を描きました。少女は永遠の純真さを表現しており、見た者に彼女の願いを大切にしたいと思わせるイメージである。

後に誰かが「There is always hope.(いつだって希望はある)」という言葉を壁に書き加えたことから、一部でこの少女は希望のシンボルとされている。


バンクシーが販売用の版画を製作したのは2004年。その10年後に「#withSirya(ハッシュタグ・ウィズ・シリア)」キャンペーンで

この作品は再び、ロンドンのトラファルガー広場にあるネルソン記念柱への投影画像という形で街に姿を表しました。


そうそう。この作品を使ってバンクシーがした酷い悪ふざけの有名なエピソードがあります。

オークションで100万ポンド強(バンクシーのオークション過去最高記録と同じ104万ポンド)で落札されたのだが、その瞬間に額縁に仕掛けてあったシュレッダーで破壊するというもの。

日本円にして1億五千万円の価格がついた作品をシュレッダーですよ!

さらにバンクシーは、細断された作品が垂れ下がった写真に「ゴーイング・ゴーイング・ゴーン…(ありませんか、ありませんか、落札)」というタイトルでinstagramに写真を投稿。

その事件後にはさらに作品シュレッダーする機械を額縁に仕掛けるところから裁断していく動画までも投稿。

ここまで聞くと「なんて酷い悪戯だろう」と思うのですが、結局、落札者はこのままの金額で絵を購入。

「美術史に残る作品を所有することになる」という理由なのだが、まさに発想の転換ですね。やっぱりお金持ちは感性が違うなあ。

🌸フォトスポットと、Instagram用のフィルター

バンクシー展の見どころ、グッズ、特色についてが今回のレポその③なのですが、まずはフォトスポットとインスタのフィルターについて。

展示の最後にはフォトスポットがあり、イギリスの赤い公衆電話ボックスの横に針を追いかけるネズミのグラフィティが描かれた大きな時計がありました。

ここで掲示されているQRコードを読み込むと「バンクシー展」オリジナルのinstagramフィルターが使えるという仕様

グラフィティっぽくコントラストが強く、RGBカラーが少しぶれた様なフィルターでした。

これはちょっと新鮮ですね、なんてフィルターを入れたはず…が、うまく使えなくて。そのうちフィルターはどこへやら。

面白い企画だったのに残念です。いや、使った後に消えてしまう、そういうバンクシー仕様だったのかしら(多分違う)

🌸グッズ売り場

こちらはグッズ売り場の様子。Tシャツなどアパレル物がたくさんあったのですが、スケボーにバンクシーっていう組み合わせがまさにTHEストリートって感じでカッコイイなと。

スケボーやらないので買わなかったけど。あ、スマホケースも良い感じでした。

個人的にはやはり部屋に飾るアートワークが欲しいかな。こういう感じの。

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🌸映像での紹介コーナー

ちなみに入場待ちの列の右手には、映像でバンクシー作品を紹介するコーナーがありました。

映画館の入り口みたいなポスターの仕方、ニューヨークかどこかのスタジオで映画の視聴をしているようなセットが結構良い感じだったり。

🌸70点の作品を網羅する無料の音声ガイド

これが結構すごいなと思うのですが、ほとんどの作品を網羅する無料の音声ガイドがあったんですよね。

モスクワ、サンクトペテルブルク、マドリード、リスボン、香港の5都市を巡回してから日本に来ているだけあって、英語、スペイン語、日本語、ポルトガル語、中国語と5ヶ国語の音声でガイドを聞けるんです。

大概の大規模な美術展には音声ガイドがあるのですが、大抵は500円〜と有料なんですよね。

まあバンクシー展の音声ガイドはお手持ちのスマホを使ったものなので機器の貸し出しはないのではありますが、通常の美術展でも全作品数に近い点数のガイドはありません。

https://izi.travel/en/246b-banksy-genius-or-vandal/ja

🌸スマートグラス「NrealLight(エンリアルライト)」

今回の展示で特徴的なのは、通常のチケット以外にエンリアルライト付きのチケットが販売されていたこと。

私が行こうと思った時には売り切れと表示されており販売されていなかったのですが、説明を読むとスマートフォンに接続するサングラス型のディスプレイのよう。

88gと軽量のデバイス、内蔵カメラで空間を認識し6DoFでトラッキング可能なことからデジタルコンテンツを現実世界に配置するような表現が可能…ということらしいのですが、文章読んでてもいまいちわからない笑

「バンクシー・スタジオ」(バンクシーの謎について)、「消費」エリア(ケイト・モス)、「抗議」エリア(ラブ・イズ・イン・ジ・エアー)、「ガール ウィズ バルーン」エリアの5つのエリアで使えるものだった様ですが

どんな感じだったんでしょうか。

Twitterやインスタで探してみたけど投稿がなかったので、結局わからずじまいですが…

という感じで、レポ③ではバンクシー展の見どころ、グッズ、特色について書かせていただきました。総括すると「バンクシー展」は見どころ満載の楽しい展示でしたよ。

私のレポは横浜のアソビルのものなので大阪の展示とは少し違っているかもしれないのですが、大阪の展示もきっと面白いものになっていることでしょう。

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銀行の展示会

↓↓バンクシー展レポ(横浜アソビル)をその①から読んでみたい方はこちらへ↓↓

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