こんにちは、Linです🌸
最近、松屋でジョージア料理のシュクメルリがヒットして話題になりましたが、シュクメルリってどんなお料理なのか全然ピンと来ないですよね?
世界を旅した人にとっては超美味として知られるお料理(特にニンニクが好きな人に)というので、なんだか気になって仕方がないと思っていたところ、
Facebookで、ジョージア美食研究家の小手森亜紀さんの作るジョージア料理を食べられる会を発見。
食べたことのない美味しい料理と聞くとじっとしていられない私。どうせ食べるなら現地仕様のシュクメルリを…と探していたところだったので、実に良いタイミング。
と言うわけで、IAI galleryさん開催「ジョージアナイト」に行ってみた!レポです。
🌸ジョージアって?
ジョージアというとアメリカのジョージア州を思いだしがちですが、れっきとした国名です。
実は2015年まではグルジアと呼ばれていた国。
1991年にソビエト連邦から独立した国なのですが、2008年の南オセチア紛争をきっかけにロシアと関係が悪化したため、英語名の「ジョージア」を使うようになりました。
日本でジョージアという名前が正式に使われたのは2015年なのでまだ耳に新しい響きなのだと思います。
さてこのジョージアという国、一体どのあたりにあるのでしょうか?
ジョージアはどのあたりにあるの?
北はロシア、南はトルコに隣接し、コーカサス山脈の南側で黒海の東側に位置しています。
この国はビザなしで365日滞在できるのですが、日本からの直行便がなく、多くはトルコ経由での入国になるようです。
興味深い特徴としては温泉や銭湯があること、北緯41~44度なので北海道と同じくらいの緯度。
しかもコーカサス山脈には5000m級の山がいくつかあり、2000を超える氷河があるなど寒そうな地理かと思われますが、国土の大半は温暖湿潤気候で、ロシアの寒気はコーカサス山脈で遮断されています。
温泉や銭湯の文化もあるようなので、温泉好きとしては結構気になりますね。
黒海沿岸部は温暖でグルジアワインの産地となっていますが、首都トビリシは内陸部なので降水量も少なく大陸的な気候となっており、同じジョージアでも場所によって結構気候が違いそう。
食文化でも西はトルコの影響が強く、東側はイランの影響が強いみたいです。(たとえば西側は鶏肉が好まれ、東側は羊や牛肉が好まれるなど。)
そして、ワインの発祥地。グルジアワイン(ジョージアワイン)といえばユネスコの無形文化遺産に登録されているクヴェヴリ製法が有名。
ちょっと豆知識ですが、ワインの作り方を伝授したのはシュメール人らしいですね。
(「音食紀行企画の古代メソポタミア飯を食べに行ってみた。レポ」記事参照)
ちなみにグルジアワイン(ジョージアワイン)はクレオパトラや楊貴妃、ロシアの歴代皇帝に愛されたワインでもあります。
ジョージアの文化
民族衣装が戦闘服になっているのは紛争が多かったためで、男性の民族衣装はチョハ(胸に薬莢入れるところがある)があります。
戦闘服というと少々不穏な雰囲気ではありますが、個人的には結構好きなデザイン。
もう少しジョージアの文化に触れてみると、男性何人かで歌うアカペラ(ジョージアンポリフォニックシンギング)も。酒場で飲んでいると突然始まるとか。
🌸ジョージア料理の特徴
さてジョージア料理の特徴とはなんでしょう?
ディル、パクチーなどのハーブを多用し、コーカサス山地で牧畜をしているため乳製品(ヨーグルト、チーズなど)を使います。
他、ナッツ、とりわけくるみを良く使い、刻んだりペーストにして料理に使用します。
あとはザクロ、これはジョージア含むコーカサスが原産地となっている果実。
前菜にトッピングする事が多いようです。味付けはニンニクやスパイスをたくさん使います。
ジョージア料理として有名なのは前述したシュクメルリ、ヒンカリ(水餃子)、ハチャプリ(チーズ入りのパン)、
それから、アジカソース(唐辛子の入ったトマトソース)またはトマケリソース(梅干しのようなプラムソース)で食べるタバカ(雛鳥のロースト)、ハルチョー(牛肉とお米のスパイススープ)、マツォーニ(カスピ海ヨーグルト)など。
今回、IAI GALLERYさんのイベントでいただいたのは、次の5種類のお料理です。
🌸いただいたジョージア料理
ナスとニンジンの前菜(ニグジアニ・バドリジャニ)
ナスの前菜はニグジアニ・バドリジャニというややこしい名前の前菜。薄切りの揚げたナスの間に挟んであるのは胡桃のペースト。
何か他に肉などが入っているのかと思いきや、刻んだハーブのみでほぼ胡桃。あとニンニクが効かせてあります。
真ん中にある人参にも胡桃のペーストが和えてあります。
上にトッピングされたザクロのプチプチとした甘酸っぱい味と食感がアクセントで、これ結構好み。
ちなみにこのナスの前菜ですが、イベントでも単に前菜としか書かれておらず、名前がわからなくて。
「世界のエスニックタウン」というYoutube番組ディレクターのHiro Kayさんという方のnoteでようやく名前が判明した次第です。(参照元のnoteはこちら)
ロビオ
ロビオとは、金時豆と玉ねぎの煮込み料理です。
刻んだくるみとパクチー、チーズが乗っていて見た目通りの濃厚なお味、そしてちょっとスパイシーでした。
ハチャプリ
ハチャプリというのはチーズのパンです。
ハチョとはグルジア語でチーズ、プリはパンを表します。
見た感じ、チーズ入りのナン(インドのパン)っぽいのですがかぶりつくとふわりと爽やかな酸味が。
白ワインかなにか入っているのかと思ったら生地にヨーグルト(マツォーニ)を入れ混ぜて焼きあげるのです。
厳密には日本のヨーグルトとも少し違うようですが、発行した乳製品の類です。
ヨーグルト株が日本にない株なのですが、中沢乳業さんが本国ジョージアより種菌を取り寄せてジョージアの製法で作ったヨーグルトがあるのでぜひ賞味したいところ。
ジョージアではマツォーニをボルシチに入れたりすると聞きますからサワークリーム的な使い方もするんですね。
ボルシチといえばロシアのスメタナですが、その話を始めるとまた脱線しそうなので興味のある方はこちら(「ロシア料理屋さんでウクライナの白いビーフストロガノフを食べてみた。」記事参照)
(中沢ジョージアヨーグルトですが、ネットじゃなくても成城石井、ヨーカドーなど、一部のスーパーでも置いてます。私もバイト先の近くにある成城石井で1つゲットしたのでそのうちレポしますね)
そうそう、生卵とバターを乗せるタイプのハチャプリ(アチャルリ・ハチャプリ)もあるみたいで、それも美味しそうで気になります。
ジョージアでパンを焼く釜(トネ)
ジョージアでパンはトネという石の釜で焼くのですが、釜の壁に生地をベチャッとくっつけて焼くんですね。
これ、インドのタンドゥール窯でナンを焼く時のやり方だなあ。
インドでナンを焼く釜(タンドール)
ちなみにタンドール窯は石ではなく壺の形をした焼き物で、元々地面を掘って穴を開けた底に炭を入れて地べたで使う調理道具です。
かなり大きいので一般家庭にはタンドール窯はないのが一般的。
日本ではインドといえばナンというイメージがあるけど実際に現地インドではあまり食べられていないという話に繋がりますね。すいません、脱線しました(笑)
現地仕様のシュクメルリ
来ました!お目当てのお料理、現地仕様のシュクメルリ!
現地ジョージア語で書くと、
もとは鶏肉とガーリックソースの料理だったのですが、シュクメリ村で牛乳が加えられるようになったためシュクメリ村の郷土料理的存在となりました。
ざっくりとしたレシピを書きますと、塩を振った鶏肉の表面をバターでカリカリに揚げ焼きした後に鍋の蓋をして弱火で煮込み、調理に使った油にニンニクと牛乳を入れて調理したものです。
松屋さんで提供されるシュクメルリと違ってチーズやサツマイモは使わないですが、松屋さんバージョンのシュクメルリも美味しそうなのでそのうち食べにいきたいな
…と思っていたら、実はもう終了したメニューだったんですね(驚愕)なんてショックでしたけど、いやいや待て待て。ここに朗報が。
一応、2021年1月19日から松屋復刻メニューで出ると公式サイトに書かれているので、食べに行けたらいいな。
ゴジナキ
ゴジナキは、ジョージアのクリスマスや年越しに欠かせない伝統的なお菓子。
蜂蜜に砂糖を加えて熱しキャラメルにしたあと、炒ったひまわりの種、胡桃などのナッツを和えて冷ましたもの。
なんとなくポン菓子を彷彿とさせるお菓子ですね。
ポン菓子というと日本生まれのお菓子かと思いきや、実はアメリカ生まれのお菓子。確かにボストン住んでた時にポン菓子っぽいお菓子食べてた気がする。
名前が思い出せないのでググると「ライスクリスピー(ライスパフバー)」が出てきた。そうそうこれだ。ライスパフに溶かしたマシュマロを絡めて固めたお菓子ですね。
イベントでは蜂蜜と胡桃を使っていて、とても甘い。
3種類のドライフルーツと一緒にいただきました。
🌸ジョージアの水餃子・ヒンカリに関するちょっと面白い話
今回のイベントでは出てないのですが、ヒンカリという水餃子も有名で、これはスパイスで味付けしたひき肉・玉ねぎなどを厚い皮で包んで茹でたお料理です。
穴を開けて中にある熱々の肉汁を吸ってから食べるなんて、なんだか小籠包のようですね。
ちなみに上部の皮を捻った部分は摘んで食べるだけで硬くて食べないのです。余ったヒンカリは硬くなるので翌日食べる場合は焼いたり揚げたりして食べたりするみたい。
ところでヒンカリの写真を見ていると、先日、京都で買ったこの京菓子の形を彷彿…似てませんか?
この京菓子、仏教伝来時に唐から伝わったお菓子とのこと。(亀屋清永さん公式サイトはこちら)
胡麻油で揚げてあるんです。さすがにお菓子なので中身は栗や柿だったとのことですが(現在は小豆の餡子です)食文化の影響が年月を超えて感じられるのは凄いなあと。
いやはや、世界の食べ物文化って面白いですね。歴史とともに別の土地へ違う形で伝わったり、変化が加わったり。
そうそう、イベントの開催場所となったIAI galleryさんは色々と面白そうなイベントをやっている完全予約制の隠れ家ギャラリー。
日本、ドイツ、ロシアの伝統文化の理解を深めるイベントをたくさん開催されているようで、どれも楽しそう。興味のある方はチェックしてみてはいかがでしょう?
Lin🌸