音食紀行企画の古代メソポタミア飯を食べに行ってみた。レポ

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東京で世界を食べ歩く、今回はなんと歴史メシ。音食紀行企画の古代メソポタミア飯を食べに行ってみたレポをお届けいたします。

これをみているみなさんは「古代メソポタミア飯って何だろう?」と思うかもしれないので少し説明を少ししますね。

ある日のことです。

Facebookを見ていたところ、非常に気になる企画を発見!

古代メソポタミア料理メニューコース「ギルガメシュなギルガ飯! 古代メソポタミアお食事セット」をご提供(2020年12月26日~2021年12月31日)。原典に基づく古代の再現料理が食べられます。

http://onshokukiko.com/wpd1/

企画元は「音食紀行

音楽と食を通じて歴史旅行を疑似体験するというコンセプトで、「歴史料理」の再現と提供をするという面白そうなプロジェクトです。

今回のメソポタミア飯企画ではイェール大学が保有する「バビロニア文書集」(YBC)、前1730年頃の粘土板にあったレシピなどをもとに再現したというメニュー4品のコースが食べられるとか。

現代人風に若干のアレンジを加えているとはいえとても興味深い。

というわけで予約を入れて音食紀行企画の古代メソポタミア飯を食べに銀座へ向かいました。

メソポタミア料理企画のお店は銀座のバーであります。お酒飲めないので銀座のバーデビュー。しかも1人。

誰か誘おうかとも思いましたが、このコロナのご時世、医療関係者の私が1人で都心に行くことすらかなり敷居が高い。会食ではないと自分に言い聞かせて1人で敢行した次第です(涙)

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🌸古代メソポタミア飯って?

メソポタミアといえば紀元前3500年〜紀元前330年頃にチグリス・ユーフラテス河に挟まれた肥沃な三角地帯に発展した世界最古の文明の一つ。

「ギルガメシュ叙事詩」というのは世界最古の文学作品の一つで、伝説的ウルクの王ギルガメシュを主人公に書かれた叙事詩。

古代メソポタミア飯
古代メソポタミア飯

音食紀行の遠藤雅司さんは2020年12月に

古代メソポタミア飯~ギルガメシュ叙事詩と最古のレシピ

という本を発刊されているのですが、

古代オリエント博物館館長であり「ギルガメシュ叙事詩」の翻訳をされた月本昭男さん監修の元、粘土書版に書かれた当時の文字(楔形文字)をラテン語への翻字から「バビロニアコレクション」を含めたレシピを解読したという貴重な書籍。

そこから今回のコースメニューが再現されているというもの。これは期待しちゃいますね。

🌸銀座のバー、日々輝

「古代メソポタミア飯」企画の場所は銀座にあるバー「日々輝」さん。

銀座駅から新橋方面に徒歩5分ほど歩いたところにあります。

銀座バー「日々輝」
銀座バー「日々輝」

お酒飲めない私はジンジャーエール。マスターは「飲めないなら別に頼まなくていいよ」とは言えど一応、気を使う私👀

ミッフ風ビール・シカル

今回の企画食に合わせて、ミッフ風ビール・シカルというドリンクがありました。

ビールは大麦やエンマー小麦から作られるお酒。

小麦の原産地が西アジアであるため、エジプトへはメソポタミアからビールの製法が伝わったとする説があります。

エジプト南部のヒエラコンポリス遺跡出土のビール工房は紀元前3600年頃。中国でビールを醸造していた痕跡も今から5000年前というので、実はこの頃すでに文化交流があったのでしょうか。

それとも、たまたま同じ時期なのでしょうか。

(シルクロードは紀元前2世紀頃からです)

そうそう、ビールを醸造するのにデーツを入れていたという記録もあって(ミッフ・ビール)、しかし再現するのにもビール醸造を個人で行うわけにはいかないのでビールに刻んだデーツを入れて「ミッフ風ビール」としたそう。

隠し味にマスタードシードが入っているとのことでしたが、どんな味がするのでしょう?

…と期待を持たせた書き方してしまいましたが私はビール飲めないので説明だけです…すいません(涙

ジョージアワイン

それと、企画に合わせたドリンクには他にジョージアワインがありました。

ワイン発祥の地とされているジョージアですが、実はワインの製法を開発したのはシュメール人と言われています。

(シュメールというのはメソポタミア南部を占めるバビロニアの南半分の地です)

このジョージアワイン、古代から伝わる土壺での醸造「クヴェヴリ製法」で作られた赤ワイン。

クヴェヴリというのは底の尖った卵型の壺で、大きさは様々ありますが代表的には800リットルが入る大壺。

圧搾した後のブドウ果汁やブドウの皮、茎、種を入れて5〜6ヶ月以上密閉空間の中で発酵させて作るワインの製法がクヴェヴリ製法です。

この製法はユネスコの無形文化遺産に登録されているのですが、2018年に「ジョージア、ワインが生まれたところ」という映画が制作されているので興味のある方はぜひ。

映画『ジョージア、ワインが生まれたところ』公式サイト
2019年11月1日(金)公開 世界無形文化遺産に登録された、世界最古、究極の自然派ワインを追うドキュメンタリー。

ジョージア料理が気になる方は松屋でヒットした「シュクメルリ」現地仕様を食べに行った記事を書いていますので、ぜひ覗いてみてください。

一皿目:スープ「ターバートゥ」

古代メソポタミア飯「ターバートゥ」
古代メソポタミア飯「ターバートゥ」

1皿目は「ターバートゥ」酸っぱいスープ。


メソポタミア出汁ベースにすじ肉、ネギ、マスタードシード、ケシの実、玉ねぎ。

赤ワインビネガーで酸味をつけたもの。

古代、塩は高級品だったので入ってないとのこと。

一応、少し食べた後に塩を入れて味の変化を楽しんでみてくださいとのことで塩を出してもらいましたが、酸味で味を締めているため塩なしでも十分美味しいです。

古代メソポタミア飯「ターバートゥ」
古代メソポタミア飯「ターバートゥ」

古代メソポタミア風出汁はクレソン、きゅうり、ゴーヤといった野菜とビール、牛すじ肉を煮て出したもの。

使用するスパイスはクミン、芥子の実(ポピーシード)、アサフェティダ粉。


アサフェティダ粉…?

それはなんぞや??

アサフェティダ粉の正体とは…

お店に置いてあった本を見ると、知ってるスパイスの名前がそこにありました。

アサフェティダ粉=サンスクリット語でヒング。スパイスカレーに使用するとググッと美味しくなるアレです。


昔スパイス料理を作るのにハマった時期があり、うちの家に新大久保のイスラムストリートで買ったものがあったけど、あまりの臭さに料理で使う前に捨てたアレです。

通称「悪魔の糞」


インド料理では熱を加えてるから美味しいカレーになるけど、通常の状態ではとても臭い。

シュールストレミングやホンオフェなど世界の臭いものを食べた経験のある私ではありますが、風も開けていないこのヒング(ボトル)、地味に臭くなるんですよ。キッチンが。

このくっさいくっさい粉を生キャベツにかけて食べていたのがギリシャ。

「音食紀行」遠藤さんの他の著書「歴メシ!」に出てくるレシピ。

古代ギリシャ…さすがスパルタの国(?)

ツワモノすぎる

ちなみにイスラムストリートについては、dancyuさんの記事に書いてあるのを見ていただくと雰囲気が伝わるかと思います。

イスラム横丁はスパイス天国だ! | 【公式】dancyu (ダンチュウ)
イスラム横丁で一番エッジの立ったハラルフードショップ「ジャンナット ハラルフード」へ。店に入ると目に飛び込んでくるのは、ずらりときれいに並んだ数多のスパイス、さまざまなソースに乾物、お菓子!どれもが各国の人気ブランドというから、びっくり。イ...

2皿目:肉料理「アムルサーヌ」

古代メソポタミア飯「アムルサーヌ」
古代メソポタミア飯「アムルサーヌ」

2皿目は「アムルサーヌ」鶏肉のパイ包み。

アムルサーヌは山鳩と訳されるので山鳩の肉なのかもしれないのですが、実際のところ元のレシピに何の鳥なのか記載がないということで、普段食べて慣れている鶏肉を使用したそう。

パイ生地にはエンマー粉を牛乳、魚醤、すりおろした長ネギ、ニンニクでこねた生地。

エンマー小麦?

エンマー小麦は古代メソポタミアで広く栽培、食べられていた小麦です。

イメージしやすいように通販サイトで情報を見ていただくようリンクしますが、イタリア語で「ファッロ」というようです。エンマー小麦(古代小麦)というとスペルト小麦なのでしょうか?

ちなみにこのパイ生地、硬くてなかなかナイフで切れないです。

ウキーーーー!!

と(心の中で)叫んでみましたが、切れにくい…そんなところが古代ぽくて、また良し。

パイ生地に牛乳と魚醤って不思議な組み合わせですよね。魚醤の塩気がいい塩梅に決まります。

魚醤とは

魚醤といえば小魚のイワシやムロアジで作るニョクマム(ベトナム)、主にアンチョビなどの海水魚で作るナンプラー(タイ)、ハタハタで作るしょっつる(日本・秋田)など、

アジア系の調味料というイメージですが、古代メソポタミアでも作られていたんでしょうか?

この魚醤に当たる言葉、ジャン・ボテロの訳によると「塩漬け液シック」と訳されているそうです。塩漬けにして旨味を液体に出すといえば魚醤だからでしょうか?

実は古代ローマでもガルム(ラテン語)という魚醤が使われていたとされており、現在アンチョビペーストなどを使う地域では魚醤を使っていたのではと考えられています。

3皿目:肉料理「シュイールム」

古代メソポタミア飯「シュイールム」
古代メソポタミア飯「シュイールム」

3皿目は「シュイールム」牛肉のオーブン焼き。

これも長ネギ、にんにく、玉ねぎ使うお料理です。古代メソポタミアではネギ科の植物を表す言葉が沢山あるため、ネギ科の植物は種類が多かったと考えられています。

そんなわけでレシピ通りの種類のネギではないかもしれないということですが、ネギ科だからこういう雰囲気の味だっただろうという再現になってそうです。

古代メソポタミアで一番多く登場する家畜、牛肉を焼き上げたとのこと。また、塩は元のレシピにないのでお好みで付けて食べるという感じでした。

4皿目:デザート「クック」

古代メソポタミア飯「クック」

4皿目は「クック」ちょっとだけ甘いデザート。

全粒粉にバター、牛乳、刻んだデーツを混ぜてオーブンで15分焼いたものです。

上からかけるソースには、これまた長ネギとニンニク。それとバター、蜂蜜、キャロブパウダー。

キャロブ(carob)はイナゴ豆で、ココアに似た香りがします。

そして、こいつもなかなか硬い

そしてこのプリミティブ感満載のお料理、嫌いじゃない。

ブログ記事にはざっくりとした食材レシピは書いていますが、何をどれだけ、どのように調理するのかについては「古代メソポタミア飯」(遠藤雅司著)に掲載されているんですね。

もうこれ買うしかないでしょ。

古代メソポタミア飯、もうちょっと元気になったら家で作ってみよう🤔

そうそう、古代メソポタミア飯を食べに行って本も面白かったので、音食紀行さんにはまた面白い食企画を出していただけるのをお待ちしております。

🌸企画食を食べたバーはこちら

日々輝さんは、銀座のバーなので飲めない私にはちょっと敷居高めでしたが、銀座にあるバーのドリンク値段の平均より少し下の値段設定だそうですよ。

(雰囲気もなかなか良い感じでした!)

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変わった国の料理を食べ歩く記事を他にも書いています。(「メソポタミア」というクルド人家庭料理の記事など)良かったらどうぞ〜

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