東京で世界を食べ歩くシリーズ、今回はチベット料理です。
チベット料理というとネパールの近くだからネパール料理のイメージとかぶるところもあると思うのですが、隣国とはいえ別の国なので当然食文化も結構違うんですよね。
ただやはり同じメニューもあるのはあります。(モモとか)
今回はもと宮廷料理のチベット鍋(ギャコック鍋)という貴重なお料理をメインに食べることが目的。
チベット鍋と言っても今はカトマンズ(ネパールの首都)でも食べられているお料理の一つ。
というわけで、都内にも珍しいチベット料理のお店「タシデレ」(曙橋)へお邪魔して来ました。
🌸チベットってどこにあるの?
チベット自治区はヒマラヤ山脈北側のチベット高原にある中国の自治区です。
この地域は標高の高い山々がそびえ立っており、「世界の屋根」とも呼ばれるエリア。
チベットとネパールの間には、世界一高いことで有名なエベレスト山が。
主要都市ラサには、かつてダライ・ラマの冬の離宮であったポタラ宮やチベット仏教の巡礼地であるトゥルナン寺(大昭寺)などがあります。
🌸チベット料理ってどういうお料理?
チベットは高地のため手に入る食材が限られています。
肉といえばヤク、羊、山羊がメイン。味付けの仕方もバリエーションは多くはなく、主に塩、花椒。
あとチーズやバターといった乳製品も多く食べられています。
🌸ギャコック鍋とは
通称チベット鍋なのですが、もともと宮廷料理だったと聞きます。
食べられていたのはポタラ宮とかでしょうか?
色々調べたのですが、どうもよくわからず。
レッサムフィリリ(泉岳寺)で食べたギャコック鍋
これが4〜5年前に食べたレッサムフィリリのギャコック鍋。
金属製の鍋真ん中にある筒の中には炭が入っており、模様が異国情緒たっぷり。
青菜が広げてある下にはキノコ、もやし、にんじん、お肉などが入っていた記憶があります。
お味は優しく滋味深さがあってなかなか美味しかったんですよね。
タシデレ(曙橋)で食べたギャコック鍋
さて今回はレッサムフィリリではなく別のお店、タシデレさんのギャコック鍋です。
卓上のコンロで調理するスタイルになっており、ちょっと近代的な雰囲気になりましたね。
グラグラ煮立った鍋の蓋を開けると、秘密の味付けが施されたまろやかでクセのあるお味の特製スープの中に、
ラム肉、豚肉の揚げ物、自家製鶏団子、厚揚げがみっちりと入ったこの鍋のビジュアル、パンチ力がすごい。
やたらと肉肉しい雰囲気ではありますが、実は鍋の中の方に箸を入れると季節の野菜(ブロッコリー、きのこ、キャベツ、にんじん、大根、セロリ、ジャガイモ)、春雨、キノコなどが
めちゃくちゃ形を潜めて入っており、もう見るからにボリューム満点。
3〜5人前で6000円なのですが、これ…4人で食べきれるだろうか(震え声
2日前要予約の貴重な宮廷料理なのですが二日間煮込んだ鶏ベースの濃厚なスープには羊肉の出汁も出ていたり、ふわっとバターの香りも。
(ちなみにブルータスの「ニホン世界一周メシ(松尾スズキ氏)」によると八角も入ってるようです。気づかなかった。笑)
ギャコック鍋の味付け自体が優しいので、辛味調味料やごま油など使って食べるのが現地流なようです。
タシデレでも赤い辛味(結構辛い)をお好みで入れていただくスタイルだったのですが、一緒に行ったメンバーが辛いもの好きだったため
辛い薬味の瓶は早々と空っぽになりました。
🌸チベット主食のツァンパ (རྩམ་པ་)
チュラというのはヤクのチーズです。
ヤクというのは標高4000〜6000メートルの草原や岩場、ツンドラに生息するウシ科の動物で、モーと鳴かずに唸るとか。
チベット、インド北西部、パキスタン北東部で見られるそうですが、中国の四川や雲南でも飼育されています。
写真を見ると水辺にいたりすることもあり水牛の一種なのかなと思っていたのですが違いました。
そもそも水牛は長い毛で覆われてないので寒冷地には暮らせないですよね。(野生の水牛はインド、ネパール、タイなどに生息しています。)
チベットでは、ヤクの乳から作るバター(ギー)をお茶に入れたり、チーズ(チュラ)を作ったりしています。
ツァンパの食べ方
ツァンパ(麦こがし)というのは、大麦の一種であるハダカオオムギを炒って粉末状にしたものにジャ(バター茶)少量を入れて捏ね団子状にしたもの。チベットの主食にあたります。
お店の方に食べ方を聞いたら本を見せてくれたので、その通りに作ってみました。
ツァンパのお味は?
香ばしい全粒粉にバターとチーズを入れて熱々のバター茶(プージャ) (བོད་ཇ་)を良い塩梅に混ぜてコネコネ…
えっとコロナ流行ってるこの時期に素手はちょっと…と思っていたら、スッとお店の方から差し出されました。
ディスポのビニール手袋。
これは…我々看護師が病院で処置などをする時に付けるアレですね。
ワビサビのなさに(?)ちょっと怯みましたが、気を取り直していきます!(必要物品です)
Linさん❤️バター茶入れるねえ〜
「ありが…」
ジャボジャボ…
あつ!あつっつ!!!👀🔥
…ゆきこさん、さすがマイペース😂笑
熱いですやんwwwめちゃ笑わせてもらいました!
さてお味ですが、素朴で…焼いた方がおそらく美味しい予感がします。
…とまあ、味はともかく現地の人が暮らす土地の生活というものに触れる良い機会でした。感謝!
🌸チベット料理屋さんのミールス
実はネパールのダルバートもあったのですがせっかくなので品数の多いこちらのメニューを。辛さが希望できたので、ちょっと辛めにしてもらいました。
ミールスは南インド料理なので、サラッと書きますね。
ちなみにインド料理屋さんは結構あちこち食べ歩いていたのですが、やはりチベット料理屋さんで食べる南インド料理は少し風情が違うような印象。スパイスというか味付けの仕方かな。
どことなくネパールのダルバート的な印象が…うまく言い表せないのですが。
パパド(Papad)
ウラド豆で作った薄焼きの塩味煎餅。黒胡椒が効いて美味しい。パパドの下にはモチモチのライス。
ケララのパランタ(Kelara Paranta)
バターたっぷりの渦巻きパン。外側パリッと、中はもっちり。クロワッサン的に多層に生地が巻いていて私が結構好きなパンでもあります。
ラワイドリー(Rawa Idly)
セモリナ粉にインドのクレープであるドーサの粉(米粉と豆粉を醗酵させたもの)で作った軽い蒸しパン。みっちりしてなかなかスプーンで千切れないです。(結構好き)
ポリヤル(Poriyal)
ココナッツと野菜を炒めたおかずです。スリランカ料理でも出てきますね。
クットゥー(Kutu)
ココナッツパウダーとキャベツやチャナ豆などのスパイシーな炒め物です。
アチャール(Achar)
野菜の漬物。インドの箸休めでもあり、ネパールでもダルバートについてくるアレです。
チャトニ(Chutney)
野菜や果物にスパイスを加えたペーストです。結構甘い。
ハルワ(Halwa)
セモリナ粉とギーと牛乳、ナッツ、ドライフルーツで作ったカルダモン香るスイーツです。
クザンブ(Kuzumbu)
南インド(タミル・ナードゥ州)の水分が多めの定番カレーで、野菜または肉で作ってくれる。
おまかせVegクットゥー
クットゥは、南インドで豆を使ったカレーの総称です。
サンバル(Sambar)
ちょっと辛めの王道の豆スープです。
ラッサム(Rasam)
タマリンドの入った酸味あるスープです。
🌸デザート
タシデレさんでは白砂糖ではなく有機きび砂糖や蜂蜜など使ったデザートが色々。
気になるものがいっぱいあったんですけど、ギャコック鍋でかなりお腹がいっぱいだったので2種類だけ注文してみました。
トゥ(Thue)
ツァンパ・チュラ(チベット産の硬いチーズ)と、てん菜糖をバターで固めた冷たいデザートです。
割と硬いのでちょっとびっくりします。かじると、中から独特のクランブルっぽい歯応えのプチプチに当たるんですけどこれはチーズ(チュラ)かな?なかなか面白いです。
タシデレ特製の自家製アイスクリーム
アイスも3種類あって全部少しずつ食べてみたいと思ったら3種盛りがあったので喜んでオーダーを。
・チャイ(カルダモン、シナモンなどのスパイスが効いたマサラチャイ風味)
・はちみつ豆乳(有機豆乳、非加熱はちみつ100%使用)
・レモンジンジャー(国産レモン使用。生姜のピリリと効いたアイス)
これ、どれも甘すぎずさっぱりといただけて、美味しかったです。
🌸チベットのドリンク
タシデレで飲んだドリンクをメインにいくつかご紹介しますね。
ルンティ(Loong Tea)
チベット医学ハーブティー(Tibetan Herbal Tea)は、ポットでどれも500円。
その中から私はルンティー(イライラ・不眠にリラックス効果)を選択。
他、エブリデイティー(レッドカラント・ハイノキカスミソウ・野生サフラン・カルダモン・生姜・ワイルドローズ。気・血・水の巡りを良くし心身のバランスを整える。美肌・リラックス・消化促進)というお茶や、
ガーデンティー(緑茶ベースにクローブ、生姜、シナモン、カルダモンをブレンド。)、
それからインドのハーブティー、トゥルシーティー(Tulsi Tea)などもありましたが、一番気になったルンティーをオーダーしてみました。
まろやかで独特の風味はあるけどマイルドな飲み口。何が入っているのかな?
メンツィカン(チベット伝統医学暦法研究所)の説明によると、
体内の気の流れを整え、ストレスを緩和。不眠や精神不安などにも良いとされる。野ばら(リラックス効果)、ナツメグ(抗炎症)、スターアニス(保温・殺菌)が入っているんですね。
バター茶 (བོད་ཇ་)
塩&バター味のチベット人ソウルドリンク。お茶はチベット茶のJa Thangで後醗酵茶。後味さっぱり。
美味しいバターだと美味しいジャが飲めるとお店の方が言ってました。やはりシンプルなものは素材が大事ですね。
チュルク
タシデレ特製の自家製乳清(ホエイ)。チベットのカルピスって書いてあるけど、そこまで甘ったるくなく、さっぱりとした飲み心地。
マリアージュフレール テヴェール・オ・チベット
マリアージュフレール王道のマルコポーロもありましたが、やはりここはチベット料理屋ですから〜って事で、友人が頼んだのはこちら。
さすがマリアージュフレール、めちゃくちゃ良い香り。…と思ったら一緒に食べに来ていただきメンバーの1人が、「これ、東南アジアの高級ホテルの香りじゃない?」と言いだし
もう1人も「そうそう。…もう東南アジアのホテルのイメージしか出てこない」と言い始めたため、もう東南アジアに旅行してる気分に。笑
しかしこれがポットで500円とか…安いです。
チャン(ཆང༌)
お次はチベットのお酒。今回はお酒を飲むメンバーだったのですが、皆やたらラムサイダーばっか飲んでてチベットのお酒は頼まなかったんですね〜
一緒に行ったメンバーの1人がラム好きだったので頼んでたラムチャイを少し飲ませてもらったら、なかなか美味しい。
ちなみにチベットのお酒というと「チャン」なのですが、
大麦や米などから作られるお酒で、米ベース(マッコリに似ている)のデ・チャン、ヨーグルトベースのショ・チャン、自家製の乳清ベースのチュルク・チャンの3種類があり、飲み比べセットなるものが。
私お酒ほとんど飲めないんですけど、ごく少量のものなら飲めなくはないのでちょっと気になる。
(ノンアルコール版のチャンもあったのでそれでも良かったのですが)
そういえばレッサムフィリリでチャンを飲んでた人に一口もらったんだっけ。そんなに強くはなかったような記憶だけど、何年も前なのでどうだったろうか。
味は爽やかな酸味と甘味のある雰囲気だった気がする。(うろ覚え)
🌸おまけ:蒸し餃子「モモ」
ちょっとスパイシーな蒸し餃子のモモはネパールでもチベットでも食べられているメニューです。
以前食べに行ったブータン料理にもモモがあったのですが形がちょっと違う…?
皮も少し厚めですかね。
やはり隣国でもちょっと違うのかなあ。
🌸お店情報
タシデレ
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